コンセプト


約百年前に建築家フランク・ロイド・ライトにより提唱された有機的建築の理念に基づいています。「有機的建築とは生きている建築で、それは時代に適し、土地に適し、人に適している建築のことです。」
これまでの住宅業界は大手プレハブメーカーや分譲メーカーなど、工業化大量生産に伴う合理化優先の中で、流行を生み出し続けてきました。結果的に数年後には時代遅れのデザイン住宅に、住み続けざるを得ない状況に陥りました。
私達は人が住まうという事を真剣に考え、自然の光や風を住まいに取り入れ、流れるような空間を創造し、流行に左右されない安らぎ、落ち着き、居心地の良さを求めた住まい。そして家族の絆や暮らし方が時代とともに子、孫に継承され、自然に育まれる空間づくりが住まいづくりの本質だと考えます。
「フランク・ロイド・ライトが生きていて、現代の日本において住まいをデザインしたら」という仮定と、人が住まう本質を融合させ、その精神を継承しながら現代のテクノロジーを取り入れつつ、さらなる住まいづくりの極みを目指します。

フランク・ロイド・ライト、Frank Lloyd Wright(1867年-1959年)
シカゴを中心として活躍した米国の建築家。アメリカ大陸で多くの建築作品があり、日本にもいくつか作品を残している。ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」と呼ばれる。


普遍的価値 / 有機的建築とは…
有機的建築とは、『そのような普遍的な形である自然の姿に学び、建物が環境と溶け合いながら、住む人にもフィットするようにデザインすること』の重要性を唱えた建築家フランク・ロイド・ライトの住まいに対する考え方であり、その理念に従ってデザインされた数多くの住宅は、建築後100年の「時」を超えた今も大切に住み継がれています。


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春夏秋冬 / 内と外との連続性
フランク・ロイド・ライトは「自然と建物の一体化」という基本概念をもっていました。そのため常に「風や光、緑、そして景観までも室内に取り入れ、招き入れることが大切」と語り、具体的な設計では「外から内へ、内から外へと空間を連続させる」と述べています。
実際の建築物を見ると、その発言に違わず、内から見ると庭も室内の一部に見え、外から見ると室内が庭の一部に見えるように設計されています。
「大地から離れることなく、自然の生命体とつながること」が重要であると彼は述べています。


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流れるような空間の中の緩やかな壁の存在 / 空間の流動性
フランク・ロイド・ライトはその設計において「室内空間をドアや壁などで仕切って固定するのではなく、オープンにしてかつダイナミック、ドラマチックな動きをもたせる」、また「部屋、つまり箱の組み合わせではなく、動きのある空間のつながりで住まいをつくる」と語っています。他には例を見ない独自の発想法を、彼は20世紀の前半に着想し、数多くの設計・施工の中でそれを実現しました。
天才は「未来の姿をつくる」と言うが、フランク・ロイド・ライトもまたその実践者なのです。


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光と大気の中で生活する / 自然の照明
フランク・ロイド・ライトは最も良い照明は天来の方法、すなわち自然な方法である。つまり「昼は自然の太陽の光を、夜は太陽光にもっとも近い、最小限の明かりを」と考えていました。
昼は床と梁の間の透明な壁、「ガラスウォール」の広い窓から自然光をたっぷりと取り入れ、部屋の隅まで明るくします。部屋に入った自然光は壁や床にはね返り、散乱する反射光としてまた部屋を明るくします。
また、反対位置にある採光窓からも光を入れ、部屋全体が柔らかい光で満たされるようにします。


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凛とした空間、やすらぐ空間 / 囲われる空間と開放
基本的に和室は囲われる空間としてあつかう事が重要です。和様式としての威厳を持たせた空間が必要になりますが同時にくつろげる空間も必要となります。
そのために様式としての美を和室に持たせて、くつろぎの空間を与えるために外につながる開口部を設けることで、この相反する二つの使われ方は解消できます。
外につなげる開口部を設けることで内と外がつながり心地よい空間が生まれます。
どちらにしても和室は囲われるという空間の中で求心力が働きます。その求心点は窓ではなく床の間に集まり和室の美は一層引き立ちます。


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柔らかく、優しく、穏やかに / 壁、天井のつながり
オーガニックハウスは床の延長が壁であり、壁の延長が天井であると考え、直交する部分の強さを意識的に弱め、あいまいな部分をつくりました。このあいまいな部分が天井と壁、壁と壁の連続性を表現しています。
重要なことは、この丸みが大きすぎたり、小さすぎたりしても連続性や柔らかみを失ってしまうという事です。この丸みの大きさは空間の大きさで決めなければならないという事です。
オーガニックハウスのデザインコードはこの曲率を空間の大きさ、作品のコンセプトに応じて全て心地よさを感じるように決めています。


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思考と落ち着きの籠り場 / 曲面を持つ壁
曲面を持つ壁は外に開放感をもたらし、内に求心力を持ちます。大切な事は円の半径と容積が大きな要素となるという事です。
デザインコードで決められた以上の大きさで円が存在すると集中や、籠るという感覚はなくなり、逆に散漫になるので円の求心力を保持させることが思考とおちつき感を醸し出す重要なポイントとなります。


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素手で触れる感触、素足で触れる感触が心地よさを生みます / 素材の本質
フランク・ロイド・ライトは「元々の自然の素材の風合いを失わないように使うべきだ」と語っています。
また人工素材(金属、コンクリート、ガラスなど)をそのまま使うのではなく、質感(手ざわり感)と色調をもとに織り込んで、一つの織物(有機的なもの)のように仕立て上げる」と述べています。
フランク・ロイド・ライトは手による加工体験の素晴らしさ・巧みさ、そして「五感の豊かさ」を忘れるなと言っているのです。